
葉酸は妊娠を望む方や妊娠中の方にとって欠かせない栄養素。特に妊娠一カ月前~妊娠三カ月には葉酸をしっかりとることで、赤ちゃんの「神経管閉鎖障害」のリスクを軽減する効果があります。
このことから厚生労働省は普段の食事に加えてサプリメントで付加量を補うよう推奨していますが、普段の食事でもしっかりとれるよう意識したい、という方も多いですよね。
ではどんな食べ物からとればいいのでしょうか?以下に葉酸を多く含む食品をランキング形式でピックアップしましたので、参考にしてみてください。
葉酸の多い野菜類

1位 枝豆(ゆで:260µg/100g)
枝豆はさやに入っているので熱に比較的強く、ゆでたときでも栄養が損なわれにくいのが特徴です。1年中スーパーで売られていますので、手に入りやすく毎日の食事に取り入れやすい食材です。ゆでるだけでなくスープやサラダ、炒め物などバリエーションも豊富なので飽きることなく食べられますね。
2位 モロヘイヤ(生:250µg/100g、ゆで:67µg/100g)
ゆでたときに栄養が損なわれやすいので、スープなどにして汁ごと食べるのがおすすめです。その際はあまり煮込みすぎないように注意しましょう。実はモロヘイヤは生でも食べられるので、サラダにして食べるのもおすすめですよ。
βカロテン、食物繊維、カルシウム、ビタミンB群、ビタミンCなどなどとっても栄養豊富なので夏バテにもぴったりです!
3位 なばな(ゆで:240µg/100g)
なばなはβカロテンを非常に多く含みます。βカロテンは体内で必要なだけビタミンAに変わるという特徴があるので、ビタミンAの摂取量を気にするプレママさんにはもってこいの食材。また鉄分やカリウムも豊富に含まれているので、妊娠時になりやすい鉄分不足やむくみの改善にも役立ちます。
4位 芽キャベツ(ゆで:220µg/100g)
芽キャベツはビタミンCとビタミンKが豊富。ビタミンCはなんとキャベツの4倍!葉酸はビタミンCを一緒に取ると活性化する作用があるので、理想的な食品と言えます。また葉がぎゅっとつまっているので、枝豆同様ゆでたときに栄養が損なわれにくいのもポイントです。
5位 からし菜(塩漬け:210µg/100g)
からし菜は高菜やなばなと同じアブラナ科の野菜でぴりっと辛いのが特徴。おひたしや漬物として食べられることが多いです。βカロテンが豊富で高い抗酸化作用が期待できます。ビタミンCはほうれん草の1.8倍。
またビタミンEも含むので「ビタミンACE(エース)」として相互に助け合い免疫力を高めてくれますよ。
葉酸の多い果物

1位 ライチ(100µg/100g)
ライチは中国の代表的な果物で茘枝(レイシ)とも呼ばれます。ビタミンCやポリフェノールも豊富で美容にも◎。私たち日本人にはあまりなじみのない果物ですが、最近では大型のスーパーなどで売られていることも。
2位 いちご(90µg/100g)
お子さんも大好きないちごにも葉酸が含まれています。ビタミンCも豊富です。スーパーなどで手に入りやすいですし、つわりの時にも食べやすくおすすめです。
3位 アボカド(84µg/100g)
「森のバター」と呼ばれるアボカド。野菜のように思われがちですが、実は果物なんです。栄養価が高くビタミン、ミネラルも豊富で美容に最適です。
またリノール酸やオレイン酸などオメガ3脂肪酸の効果で動脈硬化や高血圧にもいいと万能な果物です。ただし同時にカロリーも高いので取りすぎには注意しましょう。
3位 マンゴー(84µg/100g)
アボカドと並ぶのがマンゴー。最近はスーパーでもよく見かけるようになりました。
葉酸以外にはβカロテン、ビタミンCやカリウムも豊富。まだ青いうちはビタミンCの量が多く、熟していくほどβカロテンの量が増えます。抗酸化作用を期待する場合は充分に熟してから食べるといいですね。
5位 パパイア(44µg/100g)
パパイアにも葉酸が含まれますが、アボカド、マンゴーと比べると半分近くまで減ってしまいます。
その分脂肪や糖質を分解しダイエットに良いとされるパパイン酵素、食物繊維、ビタミンC、疲労回復にいいクエン酸、むくみにいいカリウムなどが豊富に含まれ、女性にうれしい食べ物です。パパイン酵素は青いうちに多く含まれ、熟していくと少なくなりますが葉酸は熟したほうが増えるという特徴があります。
葉酸の多い豆類

1位 きなこ(250µg/100g)
きなこは豆類の中でも1番葉酸を多く含んでいますが、軽いものなので100gはとてもとれません。大さじ1(18g)で約17µgがとれますので、補助的な意味での摂取が良いでしょう。牛乳やヨーグルトなどに混ぜると取り入れやすいですよ。
2位 大豆(乾燥:230µg/100g)
次いで乾燥大豆も葉酸を豊富に含んでいます。あまりなじみがなく節分の時くらいしか食べない、という方も多いと思いますが、おやつやサラダのトッピングなどに活用して取り入れてみてはいかがでしょうか。
きなこ同様に量をとるのは大変ですが、ちょこちょこ食べていれば知らず知らずのうちにとれてしまうかもしれませんね。
3位 納豆(120µg/100g)
私たち日本人になじみ深い納豆なら毎日の食事に取り入れやすいですよね。そのまま食べられるので栄養も壊れませんし、手軽です。1パック(50g)で葉酸を60µgとることができます。
4位 ひよこ豆(ゆで:110µg/100g)
ひよこ豆は最近では一般的になり、ゆでたものが缶詰やパックに入ってよく売られています。鉄分やカルシウム、食物繊維も含まれ、貧血予防や便秘解消にも役立ちます。
サラダやカレー、煮物など万能に使えるので毎日の食事にプラスしてみましょう。
5位 緑豆(ゆで:80µg/100g)
緑豆はそのものよりも「緑豆もやし」や「はるさめ」などとして親しまれていることが多いですよね。その栄養価は高くたんぱく質やミネラルの他ほうれん草の3倍の鉄分、ごぼうの3倍の食物繊維を含んでいます。でんぷん質も多いのでゆでるとホクホクに。ペーストしてジャガイモ代わりに使えばたくさん食べられます。
葉酸の多いその他の食品

卵黄(140µg/100g)
卵の卵黄部分にも葉酸が多く含まれます。卵は人間の体の中では作り出せない必須アミノ酸を完璧なバランスで含む、「アミノ酸スコア100」の食品です。またビタミン、鉄分やカルシウムなどのミネラルも豊富で完全栄養食品といえます。
なお卵の殻にはサルモネラ菌がついていることがあり、食べると中毒を引き起こしてしまうケースもあるので妊娠中は生卵は控えましょう。
焼きのり(1900µg/100g)
100g中1900µgとご紹介する食べ物の中でもずばぬけて多くの葉酸が含まれていますが、乾燥しているので残念ながらこれだけの量はさすがにとれませんよね。
一食あたりの目安は3gほどですので、葉酸は60µg程度。こちらもあくまで補助として考えるのが良さそうです。焼きのりはおにぎりに巻いたり料理のトッピングにしたりと幅広く使えますので取り入れやすい食べ物です。
他の栄養も豊富でビタミンや食物繊維の他、カルシウム・鉄分などのミネラル、βカロテンやEPA(イコサペンタエン酸)やタウリンなど40種類以上が含まれます。
干ししいたけ(240µg/100g)
干ししいたけは葉酸のほかに免疫力を高めるβ-グルガン(レンチナン)、動脈硬化や高血圧を予防するエリタデニン、食物繊維、ビタミンDが含まれます。
ビタミンDは生殖機能に影響をあたえるとして近年着床率との関係が注目されている栄養素です。ビタミンDを十分に摂取できている場合、不妊治療の効果が現れやすいという研究結果も。妊活中の方は積極的な摂取をおすすめします。
すりつぶしてふりかけなどにすれば葉酸を壊すことなくとることができます。また火を通す場合でも戻しただしごとスープなどにすれば流れ出た栄養も一緒に取ることができますよ。
ちなみに干ししいたけを戻すときはお湯でなく冷水を使って半日~一日かけてじっくり戻すのがポイント。そうすることでうまみと栄養素をしっかり引き出すことができます。
葉酸が豊富!でも妊娠中はNGな食品
いままでご紹介したもの以外にも、実は葉酸がたっぷりにもかかわらず妊婦さんが注意すべき食べ物があります。
レバー | 鶏(240µg/100g) 牛(240µg/100g) 豚(240µg/100g) |
過剰摂取すると赤ちゃんの奇形をひきおこすビタミンA(レチノール)が多く含まれます。 |
---|---|---|
うなぎの肝(240µg/100g) | ||
パセリ(240µg/100g) | パセリに含まれるアピオールは子宮収縮作用があり、中絶目的で使用されることがあります。 | |
うに(240µg/100g) | 魚介類の生食は妊娠中は避けるべき。食べる場合は火を通すのがおすすめですがその分葉酸はこわれてしまいます。 |
これらの食品は妊娠中は悪影響を及ぼすリスクがあるので、摂取量には注意が必要です。
ビタミンA(レチノール)に関しては1日の上限量は2700μgREとされています。これは鶏や豚レバーでいうと20gほど、うなぎの肝は60gほどと少量しか摂取できないことになります。一切食べてはいけないという訳ではありませんが、気を付けるに越したことはありません。
食べ方・調理のポイント

葉酸は熱や光、水に非常に弱い栄養素です。ですので調理の際には以下の事に気を付けましょう。
- なるべく生で食べる
- 長時間火を使わない(煮込むなど)
- 長く水にさらすと葉酸が90%近くも流出してしまうので、水洗いする場合はさっと済ませる
- 保存する場合は直射日光に当たらないようにする(3日間で約70%分解される)
- 鮮度が落ちると葉酸も減るため、新鮮なうちに食べる
食事だけでなくサプリも併用しよう

葉酸は調理法に気を付けなければいけませんし、吸収率も悪いので、特に葉酸がたくさん必要な妊娠初期は食事からじゅうぶんな量をとることが難しくなってしまいます。そこで厚生労働省は食事に加えサプリや栄養補助食品で葉酸を補うように推奨しているんです。
もちろんただサプリだけ飲んでいればいい、というわけではありませんから日ごろから食生活には気を遣わなければいけませんが、つわりで思うように食事がとれない…という方にとっては強い味方になってくれます。
まとめ
葉酸が多い食べ物をランキング形式でご紹介しました。 もう一度まとめると、
野菜類
1位 枝豆(260µg/100g)
2位 モロヘイヤ(250µg/100g)
3位 なばな(240µg/100g)
4位 芽キャベツ(220µg/100g)
5位 からし菜(210µg/100g)
果物類
1位 ライチ(100µg/100g)
2位 いちご(90µg/100g)
3位 アボカド(84µg/100g)
3位 マンゴー(84µg/100g)
5位 パパイア(44µg/100g)
豆類
1位 きなこ(250µg/100g)
2位 大豆(230µg/100g)
3位 納豆(120µg/100g)
4位 ひよこ豆(110µg/100g)
3位 緑豆(80µg/100g)
となります。
必要な栄養はなるべく食事からとりたいもの。しかしそれだけではどうしても不足してしまいがちです。うまくサプリを活用して、赤ちゃんのためにしっかり栄養をとっていきたいですね。